とんちんかんから感じた事

※あくまで個人的感想であり、だいぶ思い出補正がかかってます。
実際にはただのギャグマンガでこんな印象の漫画ではありません!(笑)

「ついでにとんちんかん」の文庫版を少しずつ読み進めてます。
全部は文庫化されてないセレクト版なので、ジャンプコミックスで読んだ方がいいのかと迷ったんだけど、今読んでも面白いと思えるような作者自選のコレクションということで、まずここから読もうと思いました(発行は2004年)。
まず今読んですごく思ったんだけど…死神くんととんちんかんは表裏一体だったって気がする。作者の世界観の中でギャグに振るか感動ものに振るかの違いだけで。根底に流れてるものは同じで、そのセンスがたまらなく好きなので私コイチ先生の漫画好きだわ~って思います。もしくは小さい頃に触れたものなのでそのセンスが良いものだと刷り込まれているのかもですが。卵が先かニワトリが先かみたいな話。

■とんちんかんの好きな点
文庫版1巻の最初2話に結構集約されていて驚いた。

○ムダなことは楽しい
第一話から「ムダな努力です」って言っちゃったよwww
ってなった(笑)
この頃のジャンプは友情努力勝利じゃなかったかもだけど、とんちんかんは友情はあるけど努力でも勝利でもないよな…と思った。勝利が差し当たり”盗みが成功する事”としたって、盗むのはしょうもないものだしそもそもムダに終わらせるし(笑)
このナンセンスがたまらなく楽しい。
あまり理解されないかもだけど。説明も難しいし。でも自分の中でムダなことは楽しい、ムダなことだからこそ少なくとも私だけは全力で楽しむみたいなのがあって、多分とんちんかんの影響だと思うんだよな~。

○みんなが許されている世界
(※だから悪い事をしてもいいという意味ではありません!)
抜作先生がアホなので(笑)でもだからこそ楽でいられる。はみ出した人にも居場所を作ってくれているということになるんだと思う。
集合!人助け!!の回で思い詰めてた女子生徒が抜作先生のクラスに入る、担任がこの人だから他のクラスよりは楽しいだろうというくだりで、すごい納得するものがあった…(笑)
それと出会いの回で、とんちんかん三人も前の学校ではみ出し者だったけど、怪盗をやることではみ出した特技を生かせる場が作られている…のを初めて知った! そうだったのか!!
だから生徒は抜作先生のとんでもないボケとかギャグにもツッコんでくれるんだなと思った。抜作先生が(結果的に)居場所を作ってくれたことで、生徒が抜作先生を信頼しているから。
ボケとツッコミの前提は信頼関係、ということではないかと!!

○(ギャグだけど)ギャグだけに真理をついている話がある
上の例もそうだし、アニメで見た「抜作先生は名医?」の話。抜作先生がめちゃくちゃな方法で病気を治してしまい病院に患者が一人もいなくなるという話なんだけど、患者がいなくなったら医者が困るという事実を突きつけていて、自分ではオチで思わず唸ってしまった。
ラッキーマンの「運が最強」に通じるような、ある意味真実をついてるし、ギャグマンガだからこそ、ここまでできると思う。

○通常の漫画キャラをギャグマンガの土俵に引きずり込むのが面白い
抜作先生と天地(あまち)くんの戦い方が基本これで笑ってしまったw

○特にとんちんかんの三人が萌えキャラ
カンフーの達人・IQ200の天才少年・超能力ガールと、三人のキャラ設定が今読み返してもめっちゃ萌える。
絵が下手だとコイチ先生本人も仰っているが、絵柄のためかこの三人は最初からすごくかわいい!

小学生くらいの時にアニメにハマっていたんだけど、その時はどうして好きとかどの部分が好きとか一切考えてませんでした。ただ自分が好きだから好きなんだという感じで(笑)
記憶の中ではアニメの色彩がカラフルできれいだったのは気に入っていたと思う。とんちんかん三人のユニフォームとかみんな違って面白いなと。
文庫版の背表紙も並べたらすごくカラフルになってて、そうそうこのカラフルがとんちんかん!! テンション上がりました。
あとBGMがものすごく記憶に残ってて、何も見てなくても脳内再生しちゃうくらいです。予告のBGMがオープニングのごめんねカウボーイのアレンジで特に好き!

○その時代ならではのノスタルジー
その時の流行りネタが多いだけに、思いがけないところでノスタルジーを感じてしまい驚いた。
今は買う物なんだろうけど、つけもの石の話で実家にあった石の事を思い出し、今もあるのかなと考えたり。
場外ホームランを狙う話で一瞬天井あるんじゃないかと思ったけど、これ東京ドームができる前の話だわ!と気が付いたり(笑)
今だと当然のようにドームで野球をするって感覚だから、今の人が読むと通じないかも…思わずしみじみしてしまった。

集約するとコイチ先生の漫画で根底に流れているものは、死神くんの表現を借りれば「あたたかいもの」であり「心だよ心」ではないかと思ってます。それが確かに抜作先生にもある!と私は思っている!…どこが!?て言われそうだけど(笑)
ちなみになんで抜作「先生」呼びなのかというと、アニメを見てた当時はやっぱり自分も生徒感覚だったのと(一応あんな見た目だけど教師なので)、後から思っても抜作先生って超人だよな~人を超越した存在だよな~と思うので、先生呼びがしっくり来ているからです(笑)

しかしこの「ついでにとんちんかん」ってタイトルがまたいいよね~。