(2020/12/04 サイト移転の際にうっかり持ってくるのを忘れてしまったので、以前の日付で投稿します)
2018年12月24日 19:55
「クリスマスプレゼント」
4歳ぐらいの日笠のクリスマス小話。
妄想短文+コメント萌え語りの形式です。
☆☆☆
「わあーっ!!」
幼い男の子は枕元に置いてあった箱に目を輝かせた。
バタバタと走って母親の元に向かう。挨拶もそこそこに、子供には少し大きなその箱を母親に掲げて見せた。
「みてみて! サンタさんからしょうぎセットもらったよ!!」
「あら、よかったわねー」
朝食を準備しながら応じる母親もニコニコ顔だ。
「やったー! はるのしょうぎセットだ!!」
飛び上がって喜んでいると、そこに祖父がやってきて、おはようと声をかけた。
「あ、じいちゃんおはよう! みてみて! サンタさんからしょうぎセットもらったんだ!!」
「おうそうか! よかったなあ、晴」
祖父は孫の頭を優しく撫でた。
「うん!! じいちゃん、これでたいけつしない?」
「よし、じゃあ朝ごはんができるまでな」
「わかった!! よーしぜったいかつぞー」
「わはは、それはどうかな」
箱を開けて将棋盤を広げ始めるその子の傍らで、祖父と母親が顔を見合わせて笑っていた。
☆
「そのサンタは爺さんだったってオチなんですけどね。俺ぜんぜん気づいてなくて。小二ぐらいまでサンタ信じてましたよ」
そう言って笑う日笠の傍らには、ボロボロになった折り畳み式の将棋盤が置いてある。
しかしそこに向ける眼差しはとても愛おしそうなものだった。
「川喜田さんは、子供の頃クリスマスに何もらいました?」
「僕は、人体図鑑とか子供用の聴診器とか……かな」
「子供用の聴診器ってあるんですか?!」
「うん」
「何して遊ぶんですか」
「自分の心臓の音を聴いたり、胃腸の音を聴いたり、冷蔵庫の音とかも聴けるよ」
「マジですか」
◇
クリスマスイブということで…
しばらく前から頭の中にあったクリスマス小話。
4歳ぐらいの日笠マジでめっちゃかわいい。(大半妄想の産物ですが)
夏に将棋にハマって冬に自分の将棋盤を買ってもらうというイメージ。
4歳ぐらいなら自分の事を「はる」と名前で言ってそうと思ったしそれが萌えるのでそうしました(笑)
川喜田は4歳でも自分の事を「ぼく」と言ってそう。というか幼児教室とかでそう指導されてそうな気がする…。
子供用の聴診器はホントにある。というかTSUTAYAで見かけて川喜田こういうの買ってもらってそうと思った。
そのあと検索したら普通に本当の聴診器を買えるので驚いた、ぜんそくの子供持ちの親御さんとかが購入してるんだそうだ…けっこう切実な用途だった…。
でも子供だったら、「大人と同じのがいい」というのも案外あるかなと思ったのでそれも。
脚が付いてる盤がよかった日笠バージョン>
その子供は喜び勇んで箱を開封し、中の将棋盤を取り出す。
しかしその表情は次第に曇っていった。盤を見ながらぽつんと声を出した。
「……ちがう」
「え?」
その様を見ていた母親と祖父の二人が、思わず聞き返す。
「ちがう! はるはじいちゃんみたいのがよかった!」
「もしかして……脚が付いてるのが欲しかったの?」
「そう! じいちゃんのとおなじのがいい! これじゃないもん」
大人の二人は顔を見合わせた。脚の付いた将棋盤はとても高価なもので、一番安いものだったとしても、幼児にプレゼントできるようなものではない。
「晴はまだ小さいんだから、これでちょうどいいのよ」
母親が慌ててなだめるが、その子の表情は暗いままだった。
「やだ! じいちゃんとおなじがいい!」
「でも脚付きのはこうやって、テーブルの上には置けないのよ、これがちょうどいいじゃない」
「やだ! はるはじいちゃんみたいのがいいの!」
数回の押し問答の末、強情に言い張るその子の瞳は涙で潤んでいた。今にも泣き出しそうな表情だ。
母親がさらになだめようと口を開きかけた時、祖父がその子の傍らにそっと寄り添って、その頭を撫でた。
「そうか……晴はじいちゃんと同じのが良かったか」
「……うん」
祖父はその子に向かって笑みを浮かべて見せた。
「よし。晴がもっと強くなったら、きっとサンタさんがくれるからな」
「ほんと?」
その言葉に、その子の表情がくるりと変わる。
「ああ、本当だ。だからこれで特訓して、もっと強くならないとな!」
「うんっ!」
さっきまで涙を浮かべていたその男の子は、もう笑顔になっていた。
(END)
◇
これを書いて思った…
むしろ爺ちゃんが最初から脚付きの盤を用意していたらすごいw
この短文を書くにあたり、例によって将棋盤を色々検索しました。
孫のクリスマスプレゼントを選ぶ祖父母のウキウキした気持ちが少し分かった…笑
でも現実的に考えると、脚付きじゃない盤が使いやすいのかなーとは思います。
脚が付いたのは畳の上に置く前提だそうなので。
個人的には10年後の日笠が、爺さんの脚付き盤と駒を受け継いで持ってるというのが萌えです。
棋士になって活躍して豪邸?を建てるとしたら、将棋を指す和室を作りそうと思っていて…
そこに置いてあって使ってるんだろうな。